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フンボルト観察手帳

フケ顔の若鳥くん!

下の写真、まず左をご覧ください。フンボルトの若鳥くんは、ほんわりとしたグレーがかった茶色。胸の帯がなくて、白っぽい顔、背と腹の境目はボンヤリしています。

次に真ん中、Bの若鳥くんにご注目を。体は若鳥カラーなのに、頭部(顔)だけオトナっぽいのです。右の成鳥と、顔の感じが似ていますね。

このフケ顔、本で見た『ヘッドモルター』ではないでしょうか?
『head molter』つまり、頭部を(成鳥のように)換羽したヤツ、ってこと。 (molt =換羽する)


普通の若鳥

ヘッドモルターの若鳥

成鳥

角度を変えて、もう一度。












顔の部分を拡大してみましょう。

若鳥A、標準タイプの若鳥顔。

若鳥B、顔はオトナに似ているので、若鳥柄の体とちぐはぐな印象を与えます。

若鳥AとBは2007年2月に天王寺動物園で撮影しました。(成鳥Cは越前松島、上と下は別の個体)


私は若鳥Aのほのぼのと愛らしい顔がお気に入りなんですがね〜。でも、早く立派なフンボルトペンギンにならなくちゃ。がんばれ、若鳥くん。
青柳昌宏『ペンギンたちの不思議な生活』(ブルーバックス)ではケープのヘッドモルターが説明されています。フンボルトペンギンにも同様のことが起こるのかも。
以下、同書から大まかにまとめてみますと。

換羽のパターン:

1-1.ヒナ: 幼綿羽1 (防水性なし、ビロードのように短い羽)

1-2.ヒナ: 幼綿羽2 (防水性なし、ふわふわの羽が伸びてくる)

2.若鳥: 正羽、グレーっぽく、背腹の境目ぼんやり、帯なし(防水、ぴったりフィット)

3.成鳥: 正羽、白と黒でくっきり、胸に帯1本 (  〃  )

「2」から「3」へ、もちろん最終的には全身が換羽しますが、まず頭部だけ早めに換羽しちゃうのだそうです。

そのワケは、換羽を前にしてエサ獲りに有利なように、成鳥のフリをして成鳥の群れに紛れ込むため。

若鳥は群れでサカナを獲るときにジャマになるから、成鳥の群れから排除されちゃう。でも単独でエサを獲っていては効率が悪い。

ところが換羽を行う前には、脂肪と栄養を蓄えるために大量に食べる必要がある。そこで、全身が換羽でボワボワになってしまう前に顔だけ換羽し、成鳥と一緒に効率よくサカナを獲る。

そうして、エサを充分に食べて準備が整ったらおもむろに体全体を換羽。って、そういう事情だそうで。

顔さえオトナになれば、仲間に入れてもらえるらしいんです。ちゃんと顔を見てるんだな〜と思う反面、顔でだまされちゃうんだ〜、とも。でも確かに、人間だって、メイクでかなり左右されますものね。


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